ITパスポートの資格を取得すればIT業界への転職に役立つ?

ITパスポートの資格を取得すればIT業界への転職に役立つ?

ITエンジニア向けの国家資格はさまざまありますが、その中でも比較的簡単に取れる資格が「ITパスポート」です。このITパスポート、IT業界を目指す未経験者としては、「取っておくべきかどうか?」と悩むところではないでしょうか?

もちろんお金と時間がいくらでもあれば話は別ですが、「忙しい中を何とか時間を作ってITパスポートの資格を取ったのに、応募した企業にまったく評価されなかった」というのでは、意味がありません。そこで、ITパスポートの資格が本当に未経験者のIT業界転職に必要なのか、キャリアアップにも役立つのかどうかを検証してみましょう!

ITパスポートの資格を効率的に取得するための勉強法や、ITパスポートの資格取得にかかる勉強時間、勉強から受験までの費用に関してもご紹介します。

ITパスポートとは、どんな資格?

ITパスポートは、ITの基礎知識があることが認められる初歩的な資格

ITエンジニアに関連する国家資格は、下記の図のように数多くあります。難易度によって、レベル1からレベル4まであり、数字が増えるほど難易度が高くなります。

ではITパスポートの資格はというと、難易度はレベル1なので、IT関連の国家資格としては最も簡単な資格です。そこからレベル2の基本情報技術者、レベル3の応用情報技術者へと進んでいくのですが、レベル2からはかなり難易度が高くなります。

下記の図の他にも、2016年からはセキュリティ人材の育成を目的とした「情報セキュリティマネジメント」(レベル1)の試験がスタートし、情報セキュリティスペシャリストの名称が変更になった「情報処理安全確保支援士」(レベル4)という名称の国家資格もあります。

ITパスポートは、ITの基礎知識があることが認められる初歩的な資格

ITパスポートは、ITの基礎知識があることが認められる初歩的な資格です。合格率は5割前後と約半分の人が合格し、社会人の合格率は6割近くに及びます。試験も随時実施しているので、非常に受験しやすい資格と言えます。

未経験からITエンジニアに転職する人は、できれば基本情報技術者の資格まで取っておきたいところですが、基本情報技術者の試験は年に2回のみ。合格率も25%程度とかなり低いので、「転職期間中に取得するのは無理」という人も多いでしょう。

そういう場合は、とりあえずITパスポートだけでも取得しておくと、IT業界の門をくぐる上で何らかのプラスになります。

資格難易度レベル4
マネジメント系の資格 ・ITストラテジスト ・プロダクトマネージャー ・ITサービスマネージャー ・システム監査技術者スペシャリスト系の資格 ・エンデベッドシステムスペシャリスト ・システムアーキテクト ・データベーススペシャリスト ・ネットワークスペシャリスト

資格難易度レベル3
・応用情報技術者

資格難易度レベル2
・基本情報技術者

資格難易度レベル1
・ITパスポート

ITパスポートの出題分野は3種類、設問は全部で100問

ITパスポートの資格試験は、下記の3種類の分野から出題されます。

ストラテジ系(経営全般)

■設問数

35問程度

■出題内容

企業と法務、経営戦略、システム戦略に関する出題

マネジメント系(IT管理)

■設問数

20問程度

■出題内容

開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメントに関する出題

テクノロジ系(IT技術)

■設問数

45問程度

■出題内容

基礎理論、コンピュータシステム、技術要素に関する設問

設問は全部で100問、四肢択一式で、試験時間は120分です。合格基準は、総合評価点が1,000点中600点以上で、かつ分野別評価点が300点以上あることが条件となります。合格率は5割前後で、社会人の合格率は6割ほどあります。

ITパスポートの資格は経理に転職する人が簿記3級資格を取るようなもの

「とりあえずIT業界のことをサラッと把握しているようだ」と認められる

ITパスポートの資格は、IT関連の基本的な知識を幅広く知っていることを認められる資格なので、基本情報技術者や応用情報技術者の資格のような重みはありません。ITパスポートの資格を持っているからといって、それで易々と希望するIT企業に転職できるというわけでもありません。

しかし、未経験から経理職への転職を目指す人が、簿記3級を持っていると「とりあえず経理のイロハはわかっているようだ」と認められるように、ITエンジニアを目指す未経験者がITパスポートを持っていることで、「とりあえずIT業界のことはサラッと把握しているようだ」と認めてもらうことができます。

まったくIT関連の資格が無いよりは、ITパスポートだけでもあった方が良い

「ITパスポートはエンジニアとしての実務を学ぶわけじゃないから、大して役に立たないでしょう?」と思っている人もいるのですが、IT業界のことを全体的に把握しているかどうかは、ITエンジニアとして働く上で必須条件です。そのため、まったくIT経験のない人がIT業界で採用してもらうためには、最低限ITパスポートぐらいは持っておいた方が良いでしょう。

IT業界はいま人手不足の状態なので、「本当は経験者に来てほしい」と思っている企業でも、未経験者をポテンシャル採用するケースが少なくありません。そのときに、まったくIT関連の資格が無いよりは、ITパスポートだけでもあれば何らかのプラスにはなる筈です。

ITパスポートの資格は転職期間中に独学で取得できる?

まずはイラスト入りのITパスポート問題集を最後まで読む

ITパスポートの資格は、独学でも十分試験に対応することができます。

「今までまったくIT関連の勉強をしてこなかった」という人は、まず「キタミ式イラストIT塾パスポート」(技術評論社)や「いちばんやさしいITパスポート絶対合格の教科書+出る順問題集」(SBクリエイティブ)のように、イラスト式でわかりやすく解説されている参考書を1冊読破しましょう。

2冊・3冊と参考書を買い溜める人がいるのですが、その必要はありません。ITパスポートはひねった問題もあまりなく、受験範囲をしっかり勉強しておけば十分に合格できる試験なので、わかりやすい参考書が1冊あればそれで十分です。

インターネット上のITパスポート勉強サイトで力試しをする

参考書をひと通り読んである程度の知識が付いたら、インターネット上の「ITパスポート試験ドットコム」や「ITパスポート過去問道場」のような無料サイトで力試しをすれば、十分合格ラインに到達できる力がつきます。

「本よりもインターネットの方が勉強しやすい」という人は、勉強サイトから始めても良いかもしれません。

参考リンク:ITパスポート試験ドットコム
参考リンク:ITパスポート過去問道場

また、スマホ用のITパスポート問題アプリもあります。電車で移動中のときなどに、アプリを開いて問題に慣れておくのも、ひとつの方法です。

参考リンク:ITパスポート 過去問題(iphone用)
参考リンク:2018年版ITパスポート問題集(android用)

本番前に一度は模擬試験を受けて、腕慣らしをしておく

大学受験の前に模擬試験を受けるのと同じように、ITパスポートの試験も本番前に何回か模擬試験を受けて、腕慣らしをしておくことをお勧めします。

模擬試験といっても、どこかの会場に行かなければならないわけではありません。「ITパスポート試験」のサイトに、本試験を疑似体験できるソフトがあるので、ダウンロードして利用することができます。

参考リンク:ITパスポート試験 CBT疑似体験ソフトウェア

ITパスポートの資格を取るために、お金と時間はどれぐらいかかる?

早い人なら、20時間程度の勉強でITパスポートの資格を取得できる

ITパスポートの資格は、早い人であれば20時間程度の勉強で取得できる資格です。ただし、これはあくまで個人差があるので、「自分は物覚えがあまりいい方ではない」という人は、その何倍かの時間を必要とするでしょう。IT関連の用語に馴染みがあるかどうかによっても、勉強時間はかなり変わってきます。

ITパスポートの資格取得にかかる総費用は1万円以下

ITパスポートの受験料は、5,700円(消費税込)です。また参考書の金額は、たとえば「キタミ式イラストIT塾パスポート」をアマゾンで購入した場合は2,030円(消費税・送料込)。インターネットのサイトは無料なので、受験当日の交通費などすべてを合わせても1万円以下で受験をすることができます。

ITパスポートの資格取得にかかる費用はかなり安いので、気軽にチャレンジすることができます。