退職証明書とは?注意点やテンプレ、離職票との違い!企業に求められるケースも紹介
転職をする際に、内定した会社から「退職証明書を提出してください」と言われるケースがあります。それはなぜなのでしょうか?
また、どのようにして入手したら良いのでしょうか?はじめて転職する方にとっては初体験となる「退職証明書」について、詳しくお話ししましょう。
退職証明書とは?何?
退社したことを証明する書類
退職証明書とは、「この人は確かに当社を退職しました」と証明するための書類です。
文面には雇用期間や業務の種類、職場での地位、賃金、退職の事由などが詳しく書かれています。
退職証明書のテンプレート
書き方に決まりはありませんが、次のようなテンプレートになっている企業が多いです。
後述していますが、載せたくない情報があれば申告することで退職証明書に記載しないことも可能です。
一般的な退職証明書の記載内容
- 書類名(退職証明書)
- 退職者の住所や生年月日
- 退職した従業員の名前
- 退職日
- 雇用されていた期間
- 従業員が希望した記載項目
→業務内容、役職、賃金など - 証明年月日
- 事業所住所・事業主名
退職証明書における注意点
様式よりも早さが大切
退職証明書はどんなテンプレートを使うかよりも、転職先から依頼された時点で速やかに退職先に用意する早さが大切です。
というのも退職証明書は法律でフォーマットの定めがないので、退職する会社のフォーマットはもちろん、インターネット上にある退職証明書のテンプレートを使っても一切問題ありません。
様式よりも速やかに提出することが重要になるため、内定先から退職証明書を求められた場合は速やかに退職する会社に求めることが大切です。
必要書類の提出は「提出期限までに出せばいい」と思ってしまいがちですが、書類の提出スピードといったちょっとした事が会社からの評価に繋がります。
転職先から要望がなければ提出する必要はない
退職証明書は転職する会社から要望があったときのみ、提出する書類なので注意して下さい。
「退職証明書があった方が、転職先も安心するだろう」と気を回して提出する必要はありません。
依頼してから発行まで意外と時間がかかる
退職証明書の発行を依頼しても宅急便のように明日に届くことはまず無く、下手をすれば2週間以上かかるので注意して下さい。
転職先の担当者も退職証明書がすぐに発行されない事はわかっていますが、あまりにも遅いと「書類の提出がルーズなのでは?」と思われるリスクがあります。
そのため、転職先から退職証明書の提出を依頼されたら、一刻も早く退職する会社に依頼しましょう。
また、発行があまりに遅ければ「退職証明書の発行はいつ頃になりそうでしょうか?」とやんわり聞いてみることも必要です。
実は在職中でも発行が可能
まだ辞めていないのに退職証明書をもらえないと思っている人もいますが、実は退職証明書は在職中でも受け取ることができます。
退職後に退職証明書を受け取ろうとすると時間がかかり、転職先を待たせてしまうことになりますので、余裕があれば在職中に発行をお願いしておくと良いでしょう。
退職の意思を告げた後であれば当然の権利なので、早めに言った方が後々面倒になりません。
記入内容は本人が決められる
退職証明書は私的文書なので、何を記入するかは退職者本人が決めることができます。
そのため、「これは転職先に知られたくない」という情報があれば、記入しなくてもOKです。
フォーマットも自由に決められるので、ネットのテンプレートから不要な項目を削除して、それを退職する会社の担当者に渡しても良いでしょう。
依頼する際は「ここに〇〇という内容を書いてください」と丁寧に説明すると、担当者も迷わずに済むので、早めに作成してもらえるかもしれません。
必ず印鑑の有無を確認する
退職する会社の担当者から退職証明書を受け取ったら、必ず印鑑の有無に注意しましょう。
万が一印鑑を押し忘れていると退職を会社が認めたことになりませんので、退職証明書として受け取って貰えない可能性があります。
また、印鑑だけでなく記入内容もひと通りチェックし、抜けや漏れがないか確認しましょう。
退職証明書が必要、企業に求められるケース
採用に慎重な企業から求められることが多い
退職証明書を求める企業は、過去に何らかのトラブルがあって採用に慎重である場合が多いです。
退職証明書があることで、企業は内定者が前職を辞めて応募したことが分かりますし、社会保険の加入にあたって内定者が被保険者資格を持っていないことも確認できます。
また、内定者が退職した会社で給与をいくらもらっていたのか、どんな勤務経験をしたのかなども確認できるので、面接での説明に嘘がないかを確かめられます。
転職先によっては退職証明書で入社後の給与や待遇を決める場合もあり、いずれにしても慎重な企業が退職証明書を求めてくると言えるでしょう。
詐欺や犯罪を疑われている心配はない
退職証明書を求められると、「詐欺を疑われている?」「犯罪を疑われているのでは」と考えてしまう人もいますが、大半の企業は疑いよりも安心のために退職証明書を求めています。
新卒で入社する人が本当に学校を卒業しているか確かめるため、「在学証明書」や「卒業証明書」を求められるのと同じようなものです。
企業側は採用に対して数百万レベルのコストをかけていることが多いので、慎重の上にも慎重を期する必要があります。
退職後に国民健康保険に加入する場合
また、退職後に一時的に国民健康保険に加入する場合は、申請の際に退職証明書が必要になる場合があります。
この場合は、転職先に退職証明書を提出するわけではなく、市区町村役場に手続きに行く際に必要となります。
他の証明書で間に合えば問題ありませんが、退職証明書が実際に必要かどうかは、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
離職票は退職証明書の代わりにはならない?
代わりになる場合が多い
結論から言うと、離職票は退職証明書の代わりになる企業が多いです。
離職票も退職証明書と同時に既に退職をしているという証明になるので、どちらかを用意できれば良いという企業が大半でしょう。
ただ、発行時期は退職証明書が在職中でも受け取れるのに対して、離職票は退職後2週間ほどしないと受け取れません。
そのため、早めに退職した証拠が欲しい転職先からすれば、離職票だと遅いと感じる場合もあるでしょう。
失業保険を受給する際に退職証明書は使えない
退職証明書と離職票はどちらも「退職したことを証明する書類」ですが、ハローワークで失業保険の受給に使えるのは離職票のみなので注意して下さい。
これは退職証明書は私文書であるのに対し、離職票が公文書であるためです。
また、任意での発行になる退職証明書と違って、離職票は退職時に必ず発行されます。
失業保険の申請時に退職証明書は使えるケースもある
ごく稀なケースですが、退職する会社の管理体制が不十分で離職票の手続きが滞っている場合は、退職証明書が離職票の代わりとして使えることもあります。
退職時に転職先が見つかっていない人は見つかるまで失業保険の給付が必要となりますが、離職票がないと失業保険が受けられませんので、退職証明書が代わりに使えるのは大きいでしょう。
勿論ほとんどの会社は速やかに手続きを進めてくれますが、「うちの会社は危ないかもしれない」と思った場合は、念のため在職中に退職証明書をもらっておいた方が無難でしょう。
退職証明書の注意点や企業に求められるケースまとめ
今回は退職証明書とはどのような書類か説明しつつ、注意点や企業に求められるケースなどを紹介しました。
退職をすると離職票と雇用保険資格証明書を受け取るという認識はあっても、退職証明書の存在は知らなかったという人は多いです。
退職証明書は会社によっては必要ないため、わざわざ取得しても無駄になる可能性はあります。
しかし離職票を中々発行してくれない企業があることも考慮すると、在職中に依頼をして退職証明書を発行してもらった方が無難でしょう。