退職代行はどこまでやってくれる?利用方法や転職で不利になるかも紹介
パワハラや残業といった様々な理由で会社を退職できずに悩んでいる人の間で退職代行が人気です。
今回はそんな退職代行とは何なんのかを解説しつつ、どこまでやってくれるのか、費用はいくらかかるのか、利用方法などを紹介していきます。
転職で不利になるのか、利用すると後悔するのかといったことも解説しているので参考にして下さい。
退職代行とは?
退職代行とは、何らかの事情で自分で会社を退職できない人の代わりに退職に関する様々な作業の代行をするサービスです。
詳細は後述していますが基本的には本人に代わって会社に連絡をして、退職の意向を告げたり退職するための話をまとめてくれます。
退職に伴う引き継ぎ作業は一切やらないという会社もあれば、オプション料金を出すと様々なサポートをしてくれる会社もあります。
退職代行はどこまでやってくれる?
退職代行がどこまでやってくれるのかは、依頼する業者によって変わってきます。
退職代行業者には大きく分けて下記の3種類の業者が存在しており、それぞれで法律上で行える業務が変わってくるからです。
- 一般業者の退職代行
- 労働組合の退職代行
- 弁護士法人の退職代行
一般企業の退職代行の場合
結論から言うと、一般業者の退職代行は費用が安い代わりに最低限の対応しかやってくれない業者が多いです。
一般企業の退職代行業者は、退職代行そのものが話題になった影響で非常に数多く存在しています。
しかし、弁護士の退職代行と違って「会社との交渉権利」がないのが最大のデメリットです。
弁護士なら法的根拠のある有給消化や退職金、引き継ぎの交渉といった業務を交渉する権利がないので、一般企業の退職代行から何かを言われても会社には従う義務もありません。
つまり、単に「◯◯さんが退職をしたがっています」と伝言を伝える程度の効果しか期待できないので、お金を払うよりも自分で伝えた方がマシです。
職場の経営者や総務に少しでも法律知識があれば、無視された挙げ句あなたの評価が大幅に下がる可能性が高いです。
オプション料金を後から請求されるリスクもある
一般企業の退職代行は、相場の5万円と比較して格安の1万円程度で請け負ってくれる業者が存在する一方で、後から高額なオプション料金を請求されることも多いです。
安い代わりに法的根拠がなく、リスクも大きいのが一般企業の退職代行でしたが、悪徳業者だと料金すら高額になってしまいます。
退職の準備を進めた後から電話料金で1万円、書類取り寄せ料金で2万円と追加料金を請求されて、支払わないと退職できない、失業保険を受給できないという事態になるリスクがあります。
労働組合の退職代行の場合
労働組合の運営している退職代行は有給消化や退職金、引き継ぎといった様々な交渉を行うことが可能です。
弁護士と異なり万が一訴訟トラブルになった時に対応できないのがネックですが、団体交渉権があるので大半の対応はできるのが特徴です。
料金も相場の5万円と比較すると割安な3万円前後ということが多いので、安心かつリーズナブルに利用できるでしょう。
弁護士法人の退職代行の場合
退職代行を依頼する際に最もおすすめなのが「弁護士法人の退職代行」で、結論を言うとほぼほぼ全てのことができます。
弁護士からの連絡は法的根拠があるので、一般企業と違い会社側は無視することができません。
料金は5万円前後とやや高額なものの、ノーリスクかつほぼ確実に退職ができるでしょう。
面倒な手続きも基本的に全て丸投げできるので、とにかく退職をしたい方や一定の金銭的余裕がある方には最適です。
基本的には弁護士法人の退職代行がおすすめ
上記のように退職代行は大きく分けて3種類がありますが、基本的には確実かつノーリスクな退職ができる弁護士法人の退職代行がおすすめです。
弁護士であれば万が一、企業が「損害賠償を請求する」「辞めるなら訴えるぞ」と言ってきた時もそのまま対応してくれるので安心です。
普通の企業であれば退職代行を使わなくても退職できるので、利用を検討している=退職を言い出せないようなまともじゃない企業、またはヤバい上司がいるという方が大半でしょう。
ヤバい企業や上司ほど退職時に訴訟をチラつかせてくる傾向があるので、リスクを避ける意味でも弁護士の退職代行は最適でしょう。
パワハラや賃金の未払い、有給未消化での退職強要といった様々なトラブルが予想されますが、弁護士であれば全て安心です。
退職代行にかかる費用(金額)の目安はいくら?
相場は5万円くらい
上で少し触れましたが、まともな退職代行の場合は5万円前後が費用の相場です。
格安をウリに1万円程度で退職代行を請け負っている業者もありますが、安いところは一般企業が運営していて伝言しかできない所が大半です。
冷静に考えてみれば分かりますが、アルバイトの日給程度の金額で代行をする業者が法律に基づいた交渉や万が一の訴訟に対応できるはずがありません。
安い退職代行には安いなりのリスクがありますし、万が一失敗すれば確実にトラブルに発展するので、やはり5万円前後の料金がかかりますが弁護士法人の退職代行を活用するのが無難でしょう。
追加でオプション料金が発生する業者もある
実際に相談するとあれこれとオプションが追加されて、相場を超える10万円近い金額を請求される業者もあるので注意して下さい。
例えば50,000円の基本料金の他に、「当日対応20,000円」「書類の請求20,000円」「有給取得の交渉20,000円」といったオプション料金が設けられています。
「代行費用は30,000円ポッキリ」、「追加料金は一切発生しません」と謳っている会社はオプションが発生しないので、追加料金を払いたくない方は各業者のサイトをしっかり確認しましょう。
業者は費用の安さよりどこがやっているのかや、口コミで選んだ方がいい
退職代行の業者は先程も説明したように、金額でなくどこが運営しているのかや実際に利用した人の口コミで選ぶべきです。
料金が安くても交渉権を持たなかったり、オプションが必ずかかる業者を選んでしまえば後悔に繋がるからです。
弁護士法人が運営している業者であれば安心ですし、口コミの良い業者は成功率が高いだけでなく、退職できなかった場合も返金保証があります。
中には心理カウンセラーが在籍していて退職後のアフターフォローまで行っているケースもあるので、料金だけでなく中身で退職代行を選ぶようにしましょう。
退職代行サービスがおすすめな人、利用するべき人
上司が怖くて言い出せない人
会社の上司が威圧的であったり、陰湿で退職したいと言えない人は退職代行がおすすめです。
あなたの代わりに退職の意思や有給取得の交渉などをしてくれます。
あまりに会社がブラックで疲弊した人
勤務している会社があまりにもブラックで、身も心も疲弊してしまう人にもおすすめです。
退職代行を使えば出社せず家で寝ていても、退職の手続きを進めてくれます。
退職届を出しても受け取ってもらえない人
退職を希望しても拒否されてしまう人にも退職代行はおすすめです。
会社にとって重要な人物だったり、人手不足で辞められては困る場合などに多いケースです。
会社に入社したばかりの人
会社に入社したものの、すぐに「自分には合わない」とわかって退職したい人にも退職代行は最適です。
あまりに勤めた年月が少ないとさすがに退職を言いづらいですが、退職代行であればスムーズに退職の意思を伝えてくれます。
うつ病で会社に行けない人
うつ病といった精神的なことが原因で、会社に行けない人にも退職代行はおすすめです。
職場内でパワハラやモラハラが続き、もう会社に向かえないという人は少なくありません。
退職代行はうつ病の方の利用者も多いので、無理して自力で退職を告げるのでなく退職代行を頼りましょう。
アルバイトなのに辞めさせてもらえない人
アルバイトなのに会社を辞めさせてもらえない人も、退職代行の利用がおすすめです。
アルバイト先が深刻な人手不足であったり、辞めたいと言うと怒鳴り散らしたり、絶対辞めないように釘を刺されたりするケースは多いです。
その場合は無用なトラブルを避けるためにも、退職代行を活用するのがおすすめでしょう。
退職代行を利用するメリット
電話やLINEで簡単に利用できる
退職代行サービスは電話やLINEで簡単に依頼できるのがメリットです。
もちろん面談をする業者もありますが、電話やLINEで相談をするだけで依頼できる業者も多いです。
相談が終わった後、サービス内容に応じて料金が決定します。
このときに退職したい会社の連絡先も尋ねられますので、後は待っているだけで退職の準備が完了します。
「たったこれだけ?」と思った人も多いかもしれませんが、ずっと悩んでいたことが1本の電話で解決するので、退職代行が人気なのも頷けるでしょう。
辞めたいと言えない人でも退職できる
会社が人材不足で辞められては困る場合なども、自分だけで退職問題を解決するのは大変です。
「自分から面と向かって辞めたいと言ったら、引きとめられて説得させられて終わりになるかも」と恐れている人もいます。
実際に「退職したい」と言って、上の人に説き伏せられて諦めてしまった人も、人材不足の業界では少なくありません。
「何が何でも辞めます!」と言えるくらいの人ならいいのですが、長年の人間関係があると、そこまで強く突き放せないところもあるでしょう。
そんなときに退職代行サービスが間に入ると、会社としてもそれ以上無理強いはできず、すんなりと退職が通るケースが数多くあります。
相談した日から交渉がスタートする
退職代行を利用すると、最短即日で交渉がスタートするのもメリットでしょう。
まともな会社なら退職代行を使わずとも退職できるので、退職代行の依頼者は連絡した時点で既に追い詰められている場合が少なくありません。
例えば依頼者がうつ病で出社できなくなり退職代行に依頼した場合、そのまま会社を休んでしまうと無断欠勤扱いになり、退職で不利になる可能性が高いです。
そのため、連絡を受けた退職代行業者は最短で即日に退職の交渉を行い、早ければ次の日には退職手続きが完了し、有給消化に入れるのは大きなメリットでしょう。
退職代行を利用するデメリットや注意点
詐欺のような業者がいる
退職代行はその需要から一気に業者が増えているので、中には詐欺のような悪質業者がいる点に注意して下さい。
退職の意思を伝えることしかせずトラブルが起きたら丸投げする業者や、入金後に何もしない業者も少ないながら存在しています。
退職代行は入金を確認してからスタートするので、悪質な業者は金だけ受け取って音信不通になることもあります。
退職代行を依頼をする際は必ず運営会社の評判や実績を確認したり、顧問弁護士がいるかなどもチェックした上で、慎重に選ぶことが大切です。
不安なら弁護士法人が直接行っている退職代行を利用するのが確実です。
弁護士が関わっていない代行業者だと退職できないことがある
前述したように、弁護士が関わっていない退職代行は法的根拠が一切ないので、お金を払ったのに退職できない場合があるので注意しましょう。
弁護士が関わっていない退職代行は安いのですが、その代わりに成功率も責任感も低いので、安物買いの銭失いになる可能性が高いでしょう。
会社から損害賠償を請求される場合がある
退職代行を利用すると、極稀に損害賠償を請求される場合がある点に注意して下さい。
ブラック企業は社員が退職することを許せない経営者が多いため、退職代行から連絡が来ると「訴えてやる!」と憤るケースもあります。
とはいえ退職は労働者の権利なので、損害賠償を請求されて裁判になったとしても支払義務が発生することはほとんどありません。
裁判になっても大半は請求した会社側が負けるので、弁護士法人の退職代行を利用している方はあまり気にせず大丈夫です。
ただし、退職代行を使う前に無断欠勤をしている、名簿データを抜き出している、同業他社にデータを売っているような問題がある場合は、損害倍書を請求されて負けることがあるので注意して下さい。
懲戒解雇を言い渡される可能性がある
退職代行を利用すると、懲戒解雇を言い渡される場合があるのもデメリットでしょう。
ただし、懲戒解雇を言い渡されても実際に法的根拠があるかというと、ほとんどの場合は無いので安心して下さい。
懲戒解雇は原則的に会社の金を横領した、同業他社に名簿を売ったなど、重大な問題がある場合にのみ適用されます。
懲戒解雇をすると労働者の再就職にも多大な影響を与えるため、退職代行を利用したことによるブラック経営者の逆恨みで、懲戒解雇が認められる可能性は低いです。
退職までに社内でパワハラやいじめを受けることがある
退職代行を利用してもどうしても出社や引き継ぎが必要な場合は職場に足を運ぶことになるのですが、退職が効力を発揮するまでの2週間にいじめやパワハラを受ける人もいるようです。
心配な方は有給を上手く活用したり、退職代行を活用する前にこっそり引き継ぎや出社の必要がない状態にしておくと良いでしょう。
退職代行を利用した人の口コミ評判
こちらが退職代行を実際に活用した人の口コミです。
やはり会社の人と余計なやり取りをせず辞められるのは大きなメリットなので、多くの方はが退職代行を使ったことを後悔していないようです。
退職代行の利用方法と解決までの流れ
まずは無料相談する
退職代行を利用する場合、まずは気になる業者に無料相談をする所からスタートします。
相談方法は様々で、電話というところもあればLINEに対応している企業も増えていますので、自分にとって都合の良い方法で相談をして構いません。
担当者との相性が悪かった場合も考慮して、2~3社くらいに相談して一番相性の良かった所を利用すると良いでしょう。
必要な情報を共有する
無料相談をしたら、退職に際して希望する条件や、退職に必要となる情報を共有していきます。
例えば退職前に有給は全て消化したい、会社とは一切話したくない、書類を送って欲しいといった希望があれば、この段階で必ず伝えましょう。
また、退職に必須となる利用者の氏名や電話番号、生年月日、勤務先の情報、勤務形態、退職時期といった情報もこの段階で伝えることになります。
依頼料金を振り込む
何社かに相談してみて最も好印象だった所に、依頼料金を振り込みましょう。
基本的には一括で先払いですが、相談すれば退職金などで後払いに対応している会社もあります。
料金が振り込まれないと動けない会社が多いので、早急に退職したい人はその日の内に振り込むことをおすすめします。
打ち合わせ
振り込みが終わったら、退職に向けて退職の決行日や退職理由、会社からの貸し出し品の有無などを打ち合わせで決めていきます。
退職代行に伝えたいことがあれば、忘れずこの時に確認しておきましょう。
退職代行を開始
打ち合わせが終わったら、いよいよ退職代行が開始されます。
基本的にこの段階になると自分でやることはなく、あとは業者に丸投げして大丈夫です。
黙っていれば退職の手続きが完了するでしょう。
万が一会社から電話がかかってきても無視した上で、退職代行業者に電話があったことを報告しておけば構いません。
退職
退職代行が完了すれば、いよいよ退職となります。
人によっては有給消化に入ったり、転職活動を始めていくことになるでしょう。
もし会社に返さなければならない書類や荷物、制服などがあればトラブルを避けるためにも必ず返しましょう。
アフターフォロー
一部の業者は退職代行が完了した後にカウンセリングや、求人の紹介といったアフターフォローを行っています。
退職後はそのまま次の仕事を探すという方が大半かと思いますので、求人を紹介してもらえるのはありがたいでしょう。
ただ退職代行は転職の専門家ではないので、求人はエージェントに探してもらった方が良い場合もあります。
退職代行以外で退職をサポートしてくれる所はある?
上司の上司や役員
上司に退職届を出しても受け入れてもらえなかった場合、上司の上司に相談すると退職代行を使うまでもなく退職できた人もいます。
上司からすれば部下に辞められると自分の評価が落ちるので、あなたの都合でなく自分の都合で引き止めたり、退職を認めないケースがほとんどです。
そんなクソ上司の都合で自分の人生がめちゃくちゃになれば元も子もありません。
そのため、直属の上司に退職を伝えても埒が明かなければ、上司の上司に相談することで問題が解決に向かうケースも往々にしてあります。
労働基準監督署
上司や役員に退職を相談しても無理だった場合は、労働基準監督署に相談する方法もあります。
管轄の労働基準監督署に電話をするか直接出向いて、実情を打ち明けることで会社に厳しい指導が入って退職できることも多いです。
各都道府県の労働局
労働基準監督署でも解決しないときは、労働基準監督署のさらに上の行政機関である「労働局」にも、相談することができます。
会社を指導するだけでなく、専門家が仲介に入って会社と労働者が話し合いによる解決を図る道を提供してくれるケースもあります。
参考:https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/index.html
ただし、労働局は労働基準法に反する事実に対して動くので、「法定労働時間を大幅に越えて働かされる」といった事象には対応してくれますが、退職代行のように退職そのものをフォローすることはできません。
とはいえ、労働局に相談することで退職問題が解決することも多いので、相談してみる価値はあるでしょう。
転職エージェント
退職代行以外の相談先としては、転職エージェントもおすすめです。
転職エージェントに登録するとで専属のキャリアコンサルタントが担当につくので、相談することで今の職場の最適な辞め方を教えてもらえます。
キャリアコンサルタントは年間で数百人~数千人の退職者を担当するので、会社に合わせた辞め方もお手の物です。
また、退職後はそのまま次の会社を見つけるために転職活動を行う人が大半かと思いますので、転職エージェントに登録しておくとスムーズなのもメリットです。
弁護士
最初から弁護士に相談するというのも選択肢の一つです。
高額な費用がかかるのがネックですが弁護士は法律のプロなので、確実に退職のフォローをしてもらえます。
お金に余裕がない方でも、国が設立した司法支援センターの「法テラス」で無料相談を受けられるので、まずは相談してみても良いかもしれません。
退職代行の利用方法やどこまでやってくれるのかまとめ
今回は話題の退職代行について紹介しました。
ブラック企業を中心に退職できない悩みを抱えている人は多いです。
中には「損害賠償を請求する」と脅されたり、「退職したらシフトの穴埋めはどうするんだ?仲間に申し訳ないと思わないのか!」と、誰が責任者なのかわからない理由で責められてしまう人もいます。
日本人は真面目で義理堅いので、「自分が抜けたら申し訳ない」と思ってしまう人も多いのですが、それで自分自身が潰れてしまっては元も子もありません。
自分の人生は自分の物なので早急に退職代行サービスを利用して、より良い仕事を見つけることをおすすめします。