転職組とは?新卒組との付き合い方や出世、退職金などを解説
中途採用の転職組と新卒組は本来であれば平等に同じ会社で働く仲間なのですが、実際はまだまだ壁や差別があるのが現実です。
転職組からすれば実力はあるのに給与や社内での待遇は悪く、新卒組からすれば途中でやってきて偉そうな中途組が気に入らないからです。
今回はそんな転職組について解説しつつ新卒組との違いや付き合い方、出世、退職金などを紹介していきます。
転職組と新卒組の違い
転職組は転職で途中入社した社員です。
対する新卒組は大学卒業後に最初から入社した社員で、ここが転職組と新卒組の最大の違いです。
詳しくは後で解説しているのですが、その他にも給与のベースや昇進のしやすさ、研修の有無、退職金など様々な違いがあります。
転職組の特徴
優れたキャリアがある
転職組はこれまでのキャリアがあり、経験者枠で採用されるので同じ入社1年目と社員と同じ土俵に立った場合、当然ながら仕事ができます。
そしてキャリアがある人ほど「会社は仕事ができる人間が優遇されるのが当然」と思っているので、転職組というだけで新卒組より下の扱いを受けると許すことができません。
物事を客観的に考えられる
企業を2社以上経験すると、いい意味でも悪い意味でも比べることができるので会社を客観的することができます。
そのため、新卒組より転職組の方が、社内の問題点を冷静に意見や提案ができる傾向にあります。
新卒組に対する引け目がある
転職組の中には、「自分は転職組だからでしゃばってはいけない」という卑下してしまう人もいます。
新卒組の方が偉いという価値観の会社から転職した人は、特に新卒組に対して引け目を感じることが多いです。
新卒組の特徴
生え抜きとしてのプライドがある
大企業ほど、「自分は生え抜きとしてこの会社に選ばれたエリート」「転職組とは違う」というプライドを持っています。
そのため、転職組を差別する新卒組も少なくありません。
自社のルールがすべてと考える
生え抜きの新卒組は入社後にじっくりと研修を受け、会社の理念からルールをしっかりと刷り込まれます。
そのため、他社や世間の一般常識は一切持ち合わせていないという事も珍しくなく、“自社のルールがすべて”と考えがちな傾向があります。
職場愛が強い
転職組は給与や労働条件などを重視して冷静に就職先を選びます。
一方で新卒組は企業への忠誠心や愛が強いので、条件や福利厚生を重視する転職組とは考え方がかなり違うことが多いです。
転職組が新卒組と上手くいかない理由
新卒組より扱いが悪いことが多い
転職組は新卒組と比較して扱いが悪いことが多いのが、上手くいかない理由の一つです。
新卒組は将来の幹部社員として手厚く保護されていますが、転職組は会社を儲けさせてくれるパーツ程度の扱いの企業がたくさんあります。
採用試験に受かった転職組は、「大企業に転職できた!」と意気揚々と入社してきますが、会社は新卒者を育てたく、転職組はあくまで穴埋めの補充要員なので昇進せず給料も上がりにくく、ギャップに苦しめられます。
実力が無いのに大きな顔をしている新卒組を、憎んでしまう転職組も珍しくありません。
新卒組は既に社内政治で立場を作っているので転職組は孤立する
転職組は既に社内政治で様々な派閥ができている職場に、一人で飛び込むことになるので孤立しがちというのも、上手くいかない理由です。
新卒組はあなたが入社するまでの数年間の社内政治を生き抜いているので一定の立場がありますし、同期の仲間もいます。
特に大企業は新卒だけで数十人以上もいるので同期の間では固い絆があり、対する転職組は入社しても孤立するので新卒組との溝が深まります。
前職のルールを持ち込む転職組が許せない
転職組は過去の経験から、より効率の良い仕事のやり方やノウハウを持ち込むのですが、それを許せないと感じる新卒組も多いです。
たとえば「業務進行表がわかりづらいように思うのですが、この方が使いやすいと思うのですが、どうでしょうか?」と提案すると、普通の会社であれば優秀な社員だと歓迎されるでしょう。
しかし新卒組と転職組で壁があるような企業だと、正論を言って上司も内心では「その方がいい」と思っても素直に従えないのが温室育ちの新卒組です。
うちは何年もこのやり方で進めてきたという固定観念とプライドがあるので、変化をもたらす提案を受け入れられないのです。
一度でも転職を経験した人なら会社の成長を妨げるだけという事がわかるのですが、ひとつの会社しか知らない新卒組にはそれがわかりません。
「転職組は余計なことを言う無能」「和を乱す使えない人間」というレッテルを張り、転職組を敬遠してしまうのです。
転職組が新卒組とうまくやっていく方法はある?
転職組と新卒組の違いを話してきましたが、うまくやっていくことはできるのでしょうか?
新卒組だからと区別しない
相手は自分と新卒組だからと最初から壁を作らず、まずは同じ人間として接して自然に声をかけることをお勧めします。
最初は向こうも差別する気はないのに、こちらが新卒組と距離をあけてしまった結果、徐々に差別が生まれてしまうケースがあります。
転職者が必要以上に意識してしまうと、その会社しか知らない世間知らずの新卒組は、「キャリアありそうだし、とっつきにくそう」とさらに距離をあけてしまうでしょう。
自分のキャリアをひけらかさない
新卒組と上手くやっていきたい場合、自分のキャリアをひけらかさないのも重要です。
転職組の中には、自分のキャリアを活かすことで上司や会社に早く認めてもらおうと力んでしまう人もいます。
その結果、有能さをアピールできれば海外であれば評価されるのですが、日本の企業の場合は和を乱した存在として逆に評価が下がってしまいます。
「新卒組に負けたくない」という気持ちもあるかもしれませんが、どんな優れたキャリアを持っていても煙たがられれば元も子もありません。
入社後しばらくは社内の様子をうかがい、馴染んでから無理のない範囲で提案をしていくようにしましょう。
仲間として認められた転職組の提案であれば、新卒組も抵抗することなく受け入れられるはずです。
優れたキャリアを持っていて信頼される人間になる
新卒組と上手くやっていくには、自分が優れた能力を持っていつつも信頼される人間になるのも重要です。
転職組である以上、キャリアを新卒組に認めてもらうことは重要です。
しかし、新卒組に前述したように生え抜きとしてのプライドがあり、社内政治や人脈面での強みもあるので、最初は淡々とやるべき仕事に邁進するのがベストです。
でしゃばるのでも卑下するのでもなく仕事を進めることで、やがて新卒組は「この人は他の転職組と違う」「上司の信頼も得ている」と気付くようになります。
やがて「仕事ができるっぽいけど、どんな風に進めているのだろう?」と興味を持ってくれればしめたもので、嫌味にならないように前職での経験をお裾分けすれば、新卒組にとって頼れる人と信頼されるでしょう。
転職組が優秀でも出世できない理由
転職組として入社してしまうと、どれだけ優秀であっても出世はできない、できても主任や係長、課長クラスが精一杯ということが多いでしょう。
極稀に中途採用の転職組でも役員や経営者になれる人もいますが、類まれなる才能と実績、社内政治での手腕が求められます。
これは前述したように、企業がそもそも新卒組は将来の幹部候補として採用しているのに対し、転職組は穴埋めや即戦力の人材として採用しているからです。
転職組は出世をさせるために採用しているわけではないので、当然ですが並の努力では出世することはできません。
また、大企業だと出世したくても役職は定年退職の順番待ちでどん詰まりしていたり、出世の条件に「入社10年以上」といった条件があるせいで、転職組は圧倒的に不利な状況に置かれていることも多いです。
転職組は退職金もないって本当?
結論から言えば転職組であっても退職金制度がある会社であれば、退職時に退職金を受け取ることはできます。
しかし退職金は勤続年数に応じて金額がどんどん上がっていく仕組みになっていたり、同じ勤続年数でも新卒組の方がもらえる金額が多い計算式になっている企業も珍しくありません。
そのため、転職組でも退職金はもらえますが、その金額は新卒組と比較すると大きく減ってしまう可能性は高いでしょう。
転職組の方が新卒組より給料が高いケースもある
ここまで転職組は新卒組より待遇面で何かと厳しいことを説明してきましたが、実は転職組の方が新卒組よりも高待遇で雇われているケースもあります。
特に中小レベルの企業に多いのですが、新卒組は大卒で給与20万程度からスタートして昇給も微々たるものなのに対し、転職組は不足している人材や優秀な経験者をコストを払ってでも確保したいという経営者の狙いから、給与30万で求人を出していたりするからです。
その結果、入社5年目の新卒組は給与が23万程度なのに、転職組は初年度から30万円もらえていたりするのです。
これは、日本の新卒組は終身雇用を前提に、最初の給料は低く設定されていることが多いのも関係しているでしょう。
そのため、時として転職組の給料が自分より何万円も高いことを知った新卒組が、文句を言ってくるようなトラブルも起きます。
転職組が新卒組とうまくやっていく方法に関するまとめ
転職組と新卒組の間には大きな壁があるので、認められてうまくやっていくようになるにはある程度の時間と努力が必要です。
新卒組のプライドは簡単には崩せませんし、崩そうとしてもトラブルの元になるだけです。
かといってキャリアのある転職組が必要以上に低姿勢になっても使えないと評価が下がるだけなので、難しいですが焦らずに一歩ずつ近づいていくのがベストでしょう。