転職の業界研究のやり方やメリット11選!企業研究との違いやおすすめ本も紹介
転職準備のひとつとして、業界研究を行うことは非常に重要です。
「今どこの会社に行きたいか」だけではなく、5年後・10年後・20年後も発展が見込まれる業界・企業であることを確認した上で、転職先を考える必要があるからです。
では、業界研究は、いったいどのようにして行ったらよいのでしょうか?
具体的な手順と、注意すべき点をご紹介しましょう!
業界研究とは?何のために必要?
業界研究とは、飲食業や金融業、製造業といった様々な業界について調査し、自分にとって適正のある業界がどこかを判断する方法です。
転職においては企業研究や自己PR、面接対策と同じくらい重要で、業界研究が甘い状態で転職をしてしまうと失敗に終わる可能性が高いです。
また、適正を調べるだけでなく、自分が転職したい業界を見つけるきっかけになったり、業界の将来性などを判断する材料にもなります。
転職後の失敗を防ぐために必要
業界研究は結論から言うと、転職後の失敗を防ぐために必要です。
転職先を考える時に「業界研究なんて面倒なことをしなくても企業の業務内容や給与・福利厚生などを見て決めればいいのでは?」と思っている人もいるでしょう。
確かに業界研究をしなくても転職が成功するケースもあるのですが、業界研究をしないと「転職した10年後に業界が衰退して企業が倒産。年齢的に転職も困難に…」といった状態になりかねません。
また、業界研究をしないと勢いで飛び込んだものの、業界の雰囲気や仕事内容が全く自分に合っておらず、ミスマッチにより即退職に追い込まれる場合もあるでしょう。
そのため、業界研究は転職の失敗を防ぐ上で非常に重要と言えるでしょう。
自分に合った業界を見つけるためにも必要
説明したように業界研究をしないと転職が失敗しやすいのですが、逆に言うと業界研究をすることで自分に向いている業界を発見して転職が成功しやすくなります。
たとえば飲食店の店長をしていた人が転職先を考えるにあたって業界研究をしたところ、「自分には飲食業界よりも住宅業界の方が合っている」と気付き、ハウスメーカーの営業職に転職して成功した人もいます。
転職する業界を決めていない人は、業界研究を通してどんな業界が自分に合っているのかを調べる必要があるでしょう。
業界研究と企業研究の違いとは?
業界研究と企業研究の違いを簡単に言うと、調査する中身が異なります。
例えば食品業界の研究をする場合、「味の素」、「明治」、「日清食品」といった大手3社を調査するのは企業研究となります。
業界研究は味の素や日清といった個別の企業を調べるのでなく、食品業界そのものを調査するという違いがあります。
転職後に後悔や失敗をしないためには、業界研究の際に中身だけでなく将来性についても忘れず調査しましょう。
転職の業界研究のやり方やポイント
まずは大分類でどのような業界があるかを研究する
転職を考える際に業界研究をする際、まず日本にどんな業界があるのかを把握する必要があります。
日本における業界とは、大きく分けてメーカー、商社、IT業界、サービス・インフラ業界、小売業界、金融業界、出版・広告・マスコミ業界、官公庁・公社・団体の8種類に分類することができます。
以下に業界一覧と、それぞれの業界について簡単な解説をするので参考にして下さい。
【メーカー】
- 概要:原材料などを加工することによって、製品を開発・生産する業界
- 該当:食品・農林・水産、建設・住宅・インテリア・エクステリア・建材、繊維・化学・薬品・化粧品、鉄鋼・金属・鉱業、機械・プラント、電子・電気機器、自動車・輸送用機器 、精密・医療機器、印刷・事務機器関連、スポーツ・玩具、その他
【商社】
- 概要:原料や加工品・サービスなどあらゆる商材を扱い、売りたい相手と買いたい相手を結び付け、取引の仲介を行う業界
- 該当:総合商社、専門商社、その他
【IT業界】
- 概要:システム開発や通信ツールの開発など、インターネットや通信に関わる業界
- 該当:ソフトウェア、インターネット、ゲーム、通信、その他
【サービス・インフラ業界】
- 概要
サービス業界:個人や企業が求めるサービスを提供する業界
インフラ業界:社会の基盤となるような施設や仕組みを提供する業界 - 該当:不動産 、鉄道・航空・運輸・物流、電力・ガス・エネルギー、フードサービス、ホテル・旅行、医療・福祉、アミューズメント・レジャー、 コンサルティング・調査、人材サービス、教育、その他
【小売業界】
- 概要:メーカーや商社などから製品を仕入れ、一般の消費者に販売する業界
- 該当:スーパー、百貨店、コンビニ、専門店、その他
【金融業界】
- 概要:信用を提供することに伴う貨幣や資産の授受を行う業界
- 該当:銀行・証券、クレジット、信販・リース、生保・損保、その他
【出版・広告・マスコミ業界】
- 概要
出版業界:雑誌や書籍などの印刷物を企画・制作・販売する業界
広告業界:企業の商品やサービスを告知するためのCM制作や販促物制作、イベント企画などを行う業界
マスコミ業界:メディアを通じて情報を提供する業界 - 該当:出版、広告、放送、新聞、その他
【官公庁・公社・団体】
- 概要:国や地方公共団体が、公の役務、とりわけ行政事務を行っている組織または場所(建築物)
- 該当:官公庁、公社・団体、その他
業界研究をして、その中に「この仕事がしてみたい」という職種があれば、今度は企業研究をしてみると良いでしょう。
業界の現状や将来性などを調べる
どんな業界があるかを知り、自分の興味がある業界をピックアップしたら各業界について詳しく研究していきます。
基本的には下記の情報を調べると良いでしょう。
- 業界の置かれた現状
- 業界の将来性
- 業界の代表的な企業、興味ある企業の現状と将来性
- 業界の景気動向
- 国際的に見た業界の状況
- 業界の社会性
業界について調べた内容をまとめておく
調べた内容を全て記憶するのは無理なので、「転職ノート」などを作成して情報をひとつにまとめておくと便利です。
業界について書かれた書籍を読む
業界研究の方法として、書籍を読むのも効果的です。
詳細は記事の後半で解説していますが、「日経業界地図」や「四季報」をはじめ、「〇〇業界の動向とカラクリがよ~くわかる本」など、業界について書かれた書籍を何冊か読むのがおすすめです。
一冊読んだだけだと著者の偏った考え方の影響を受けやすいので、数冊を読んで情報や業界に対する考え方を比較しましょう。
業界団体のホームページを見る
「〇〇業界団体」や「〇〇業界協会」などのホームページを見るのも、業界研究の方法としておすすめです。
業界がいまどのような活動をしているか、どんなビジョンを持っているかなどがわかります
ただし、業界のホームページには本当に知りたい、業界の綺麗事じゃない実情やマイナスイメージにつながるようなことは書いていないのがネックです。
インターネットで業界の情報や口コミを検索する
業界研究の方法として、インターネットで業界の情報収集をしたり、「転職会議」のような口コミサイトで業界大手3社くらいの口コミをチェックするのもおすすめです。
「〇〇業界」とインターネットで検索すると、現状や今後の動向・将来性などについて書かれたサイトがいくつか出てきます。
リアルタイムの動向が分かる、検索画面のニュース欄をチェックしてみるのも良いでしょう。
また、転職口コミサイトで業界大手の元社員の口コミをチェックすることで、将来性や業界の空気などが分かります。
場合によっては大手でも厳しい労働環境であったり、実は将来性に乏しいということが見えてきたりするので重要です。
新聞やテレビをチェックする
新聞やテレビでも業界に関する最新情報を得られるので、業界研究をするのであればチェックした方が良いでしょう。
紙媒体の新聞を読む習慣がない人は、電子版の新聞やニュースアプリで業界の動向を研究するのもアリです。
セミナーや合同説明会に参加する
企業が合同で主催している「業界研究セミナー」や、転職サイトが実施している「合同説明会」に参加してみるのも企業研究の方法としておすすめです。
生の業界情報を知ることができますし、一度に複数の業界や企業の研究ができるので非常に効率が良いです。
転職で業界研究を行うメリット
入社後のギャップや後悔を回避できる
冒頭でも触れましたが、やはり業界研究をすることで入社後のギャップや後悔を回避できるのは大きなメリットでしょう。
業界研究なしでいきなり未経験の業界に飛び込むと、入社前に考えていた仕事やイメージと現実のギャップで後悔に繋がりやすいです。
業界研究とその後の「企業研究」をしっかり行えば転職後のギャップがないので、長くイメージ通りの働き方ができるでしょう。
応募や面接で説得力のある志望動機が伝えられる
業界研究をしっかりとした上で企業の応募に臨むと、応募時の書面で志望動機を書く際や、面接時に志望動機を尋ねられた際に説得力のある回答をできるのもメリットです。
応募者が業界研究をしているかどうかは、採用担当者や面接官は書類の文面や言葉の端々で見抜いてきます。
そのため、「業界研究をした上で具体的なビジョンを持って応募してきたのだな」と判断されれば、選考結果に大きな影響を与えるでしょう。
改めて自分のいる業界の良さに気付くこともある
逆に業界研究をすることで、実は自分が今いる業界が恵まれていることに気づけるというメリットもあります。
よくあるのが新卒で入った業界の待遇に不満があって転職を検討したものの、他業界と比べれば給料も福利厚生も将来も優れていて、転職すると明らかに今より待遇が悪くなることに気づいて異業種への転職をやめるケースです。
宇宙から地球を見ると違った視点が得られるように、大所高所から業界を眺めることで今までいた業界の意外な良さに気付くことができます。
実は今の業界が優れていることがわかれば、異業種への転職でなく同業種のより大手や勢いのある会社への転職をするべき、という判断もできるようになるので業界研究は大いに役立ちます。
穴場の業界に出会えることもある
世の中には星の数ほどの企業があり、業界も多種多様にあるので、業界研究をすることで自分がまったく知らなかった業界と出会えることがあるのもメリットです。
特に時代の先端を行く業界やニッチな業界は一般の人の認知度が低く、発展性が見込めながらも転職希望者が少ないケースがあります。
業界研究をすることで、実は好条件で将来性もある転職の穴場業界に出会える可能性もあるでしょう。
業界研究におすすめの本
会社四季報 業界地図
東洋経済が販売する全174業界を分析しており、数ある業界研究の書籍の中でも長年売上No.1の本です。
マップで業界の勢力図を見ることができ、各企業の売上高や利益率なども掲載されています。
業界の最新情報や今後の予測などの情報も満載なので、迷ったらとりあえず手にとるべき1冊といえます。
参考:https://str.toyokeizai.net/magazine/gyoukai/
就職四季報
その名の通り就職活動に役立つ情報誌ですが、転職目的の業界研究にも十分に耐えうる一冊です。
各業界の特徴や動向、求められる人材像などを紹介しています。
また、大手企業からベンチャーまで幅広い企業の採用情報やインタビューも掲載されているので、こちらもおすすめの一冊です。
日経業界地図
日本経済新聞社が発行している業界研究書籍です。
全200以上の業界をカテゴリー別に分類し、各業界の市場規模や成長性、競争環境などをベテランの記者が書いているのが特徴です。
情報の精度が高く、ベテラン記者だからこそ知っている裏情報、各業界の中でも働きやすいとされる企業のランキングなども掲載されています。
日本経済新聞社の豊富なデータベースと分析力が生かされた書籍です。
業界大研究
業界大研究は各業界に特化した業界研究の書籍です。
50以上の主要な業界を1冊ごとに取り上げており、各企業の戦略や強み・弱み、将来性などを徹底的に分析しています。
また、注目度ランキングや成功事例も掲載されています。
既に転職したい業界が定まっている人におすすめの一冊です。
図解入門 業界研究
業界大研究と同様に一冊ごとに業界に特化した最新動向や、課題を図解と共にまとめている初心者向けの業界研究書籍です。
他の書籍と違い1冊で特定の業界に特化した内容になっているので、わかりやすく情報量も豊富です。
各業界の歴史や仕組み、トレンドや課題などを理解することができます。
業界研究のやり方やメリットまとめ
今回は業界研究のやり方やメリットについて解説しました。
転職先を考えるにあたって業界研究をしっかりと行っておくと、転職後も「こんな筈じゃなかった」と後悔することなく、自分のはっきりとしたビジョンを持って仕事に取り組むことができます。
固定観念にとらわれず、より広い視野に立って業界研究に取り組むことで、心から満足できる転職を実現できるでしょう。