転職目的の整理方法や転職理由との違い、例文などを紹介
転職する場合、実際に転職活動をスタートする前に「なぜ自分は転職をしたいのか?」という目的をはっきりさせることが重要です。
今回はそんな転職の目的を明確にする重要性と共に、目的をの整理方法や転職理由との違い、例文などを紹介していきます。
そもそも転職の目的とは?
転職の目的とは、簡単に言うと「自分がなぜ転職をするのか」という転職活動の根幹となる目的のことです。
転職目的を明確にしてから転職活動を始めることは非常に重要で、なぜなら目的が定まってない状態で転職活動を始めても企業から採用されにくいだけでなく、転職後の後悔やミスマッチに繋がるからです。
転職をしたいと思った場合、「転職することが目的」になってしまう人が多いのですが、重要なのは「どういった目的で転職をして、どのような未来を描きたいのか」といった部分です。
「転職の目的」と「転職が目的」を履き違えてしまうと、漏れなく転職が失敗しやすいので注意して下さい。
転職目的と転職理由との違い
転職目的と転職理由は似ているのですが、結論から言うと転職目的は将来を、転職理由は現在を見据えたものです。
例えば「給料が安いから転職したい」というのは一見すると転職目的なのですが、これは転職理由です。
転職目的は、「給料が安いから転職で基本給や昇給制度がしっかりしていて、年収が100万円アップする企業に入社したい」という形になります。
また、同じ給料が安いという転職理由でも、会社の業績が悪い、評価制度に問題がある、業界そのものが低賃金、能力不足など、原因によって転職のやり方は変わってきます。
例えば「成果を出しているのに他の社員と給料が変わらないせいで安く感じる」のであれば、転職の目的は「評価制度がしっかりしていて、成果次第で給料が大幅アップする企業に転職」となるでしょう。
このように転職目的と転職理由は響きは似ているのですが、完全に別物なので注意して下さい。
転職理由を目的に変換する例
では、転職理由を転職目的へと変換する例を紹介していきます。
不満①
- 転職の理由:何を言っても反映されず仕事がつまらない
↓ - 転職の目的:意見を出せば新しいことにチャレンジさせてもらえる会社に行きたい
不満②
- 転職の理由:縦割りの会社で人間関係に悩んでいる
↓ - 転職の目的:風通しのいい会社で協調して良い仕事がしたい
不満③
- 転職の理由:頑張っても給料が上がらない
↓ - 転職の目的:業績を給与に反映させてくれる会社に転職したい
不満④
- 転職の理由:会社の将来性がない
↓ - 転職の目的:同業種でグローバルにビジネスを展開している成長企業に転職して自分の経験を存分に活かしたい
転職目的を整理して明確にする方法
では、次にそんな転職の目的を明確にするための方法を紹介していきます。
まずは転職のきっかけとなる不満を書き出す
転職目的を明確にするには、まず転職のきっかけとなったであろう今の会社に対する不満を書き出しましょう。
会社に対する不満とは、たとえば次のようなことがあります
- 仕事がつまらない
- 人間関係に悩んでいる
- 残業が多いなど
- 職場環境に不満がある
- 給料が少ない
- 会社の成長に期待が持てない
- 業界そのものが斜陽で将来性がない
人によっては、不満が複数ある場合もあると思いますが、とりあえずすべて書き出しましょう。
次に不満から転職の目的を明確にしていく
会社の不満を上げたら、次にそれを転職の目的へと繋げていく必要があります。
たとえば残業が多いことが転職のきっかけ、理由であれば目的は「残業が少なくて、家族やプライベートとの両立ができる企業への転職」という形になるでしょう。
目的が明確になることで、達成するための動き方や転職する企業の選定方法も見えてくるでしょう。
転職の目的が複数ある場合は優先順位を決めておく
もし転職の目的が複数ある場合、全てを満たした転職をするのは非常に困難なので優先順位を決めておきましょう。
例えば「今より高収入を目指したい」「残業のない会社に行きたい」「昇給制度や福利厚生が充実した会社」など、目的が複数ある場合、この中で一番譲れない目的を決めましょう。
妥協できる目的と絶対に譲れない目的を明確にしておくことで、転職活動をよりスムーズに進めることができます。
転職の目的を明確にしておくメリット
目的を面接で必ずといっていいほど質問される
転職の目的は必ずと言っていいほど面接で聞かれるので、明確しておくとスムーズに答えられて便利です。
目的をパッと答えられない人は面接官からの印象もよくありませんが、事前に転職目的を明確化していれば質問に対して堂々と答えることができるので好印象です。
転職の判断がスムーズにできる
転職の目的を明確にすることで、転職をするべきか、どのような業界・企業を選ぶべきかといった判断がスムーズにできるようになるのもメリットでしょう。
転職後の将来像が定まっているので、いざ転職をする時に「この企業なら目的が達成できる」という判断を素早く下せるので、通常の転職のように業界や企業の選定で余計な時間を使う必要がありません。
採用側からしても明確な目的がなく何となく転職を考えている人材よりも、明確な目的があって入社したい人材の方が魅力的に見えます。
自己PRでも有利になる
転職の目的を明確にすることで、履歴書や面接における自己PRでも有利になるのもメリットです。
目的が明確な人は発言や記載内容に一貫性があるので、説得力が生まれます。
そのため、長所などをアピールした際も採用担当者に受け入れられやすく、有利になるでしょう。
よくある転職目的の例とランキング
では次によくある転職の目的を例にあげてみましょう。
参考元はdodaが2022年に発表した転職目的・理由のランキングに関する調査結果です。
順位 | 転職理由 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 給与が低い・昇給が見込めない | 35.0% |
2位 | 昇進・キャリアアップが望めない | 29.4% |
3位 | 会社の評価方法に不満があった | 26.8% |
4位 | 社内の雰囲気が悪い | 26.7% |
5位 | 肉体的または、精神的につらい | 24.3% |
6位 | スキルアップしたい | 24.0% |
7位 | 業界・会社の先行きが不安 | 23.9% |
8位 | 社員を育てる環境がない | 23.7% |
9位 | 労働時間に不満(残業が多い/休日出勤がある) | 23.5% |
10位 | 尊敬できる人がいない | 23.2% |
調査結果によると、転職の目的・理由として最も多かったのは給与や昇給に関する不満でした。
次に多いのが昇進やキャリアップ、評価方法への不満であり、いずれも給料や将来に大きな影響を及ぼぬものであることが分かりました。
転職目的を明確にして成功した人の体験談
総務の事例:残業が多い不満をきっかけに転職を考えたAさん
Aさんは食品メーカーの総務部に勤務していましたが、毎月100時間とあまりに多い残業に対する不満を理由に転職を検討しました。
早速転職エージェントに登録したところ、Aさんはアドバイザーから「あなたの転職の目的は何ですか?」と尋ねられたので残業のない会社に転職したい旨を答えました。
しかし、「残業のない会社に行って何を実現したいですか?」と尋ねられた際に、転職後の目的が定まっていないことに気づきます。
そこで改めて職場の不満を見直すと、本当は定時で帰れる仕事量なのに上司が帰れない雰囲気を作っていることや、無駄な作業が多いことが不満であることが分かったので、Aさんは「今までのようなアップダウンの会社ではなく、風通しがよくて上司の機嫌でなく仕事量に応じて適切な残業がある会社に転職する」ことを目的にしました。
残業が少ない環境を作り出し高評価を獲得
その結果、Aさんは日用品メーカーの総務部への転職が成功し、転職後は社内環境の充実や業務の効率化に対するさまざまな提案をし、自分で残業がない環境を作り出し、会社から高い評価を受けることができました。
このように自分自身の転職の目的をはっきりとさせることによって、応募時や面接時に堂々と自分の思いを伝えることができ、採用に結び付くとともに満足できる転職を実現することができるのです。
営業の事例:年収アップを目的に転職したBさん
営業職をやっていたBさんは成績が良くても給与にほとんど反映されず、成績の良くない同期と給与に大差がないことを理由に転職を決意しました。
Bさんの目的は成績が給与にしっかりと反映される職場への転職で、希望条件は年収600万円以上、営業成績のインセンティブ制度が手厚い、残業少なめでした。
転職エージェントに相談して、自分の強みや志向性を明確にしました。
その結果、自分に合った企業を紹介してもらえて、無事内定をもらうことができたようです。
転職後に実力を活かして年収が2倍に
転職後はITコンサルティング会社の営業部で活躍し、クライアントの課題解決に貢献しました。
その結果、会社から高い評価を受けることができ、年収は成果が反映されて2倍近くに上がったようです。
仕事もやりがいがあるらしく、このように自分自身の転職の目的をはっきりとさせることは非常に重要です。
それによって応募時や面接時に堂々と自分の思いを伝えることができますし、満足のいく転職を実現できます。
エンジニアの事例:スキルアップを目的に転職したCさん
Cさんは前職ではシステム開発の仕事をしていましたが、技術的なスキルアップやキャリアアップの機会が少なくて不満でした。
そこで自分はどんな技術を身につけたいか、どんなプロジェクトに参加したいか、といった転職の目的を明確にしました。
インターネットで求人情報を検索して自分の希望条件に合う企業に応募し、面接では自分の技術力や意欲をアピールしました。
その結果、第一志望の企業から内定をもらい転職に成功しました。
転職後はどんどん技術が身につく開発案件に
Cさんは転職後はAI開発会社のエンジニアとして活躍し、最新の技術に関われる開発案件に携わっています。
その結果、技術力や知識が向上しただけでなく仕事もやりがいがあって楽しいようです。
このように自分自身の転職の目的をはっきりとさせることは非常に重要です。
応募時や面接時に堂々と自分の思いを伝えることができますし、満足できる転職を実現することができるでしょう。
転職の目的に関するまとめ
今回は転職の目的や、目的を明確にするメリットなどを紹介しました。
転職を考える人は多かれ少なかれ職場に対する不満を抱えているので、まずはそれを明確な目的にすることが大切です。
自分一人ではなかなか転職の目的がわからないという人は、一度転職エージェントに登録してキャリアカウンセラーに相談するなどして、プラス思考で転職活動に臨めるよう努力しましょう。