転職を上司やお世話になった人に伝えるべき?相談タイミングや伝え方も解説
転職活動を始めるにあたって、常に心に引っ掛かるのが「退職する会社の上司に、いつ何と言って退職の意思を告げたらいいのか?」ということです。
タイミングや言い方を選ばないと、会社や上司との関係に溝が生まれてしまうこともあるので、十分に注意しましょう。
また、クールであまり部下と話をしない上司なら、こちらもビジネスライクに告げればよいのでしょうが、親しい間柄の上司となると話は別です。
信頼関係を結んだ上司とは、できれば退職後も縁を切ることなく、良い関係を続けていきたいもの。
そのためには、「会社を辞めてもまた会おう」と言ってもらえるように、しっかりと礼を尽くすことが大切です。
転職を上司やお世話になった人に伝えるべき?
結論から言うと、転職をする場合は人事担当や総務だけでなく必ず上司にも伝えるべきです。
上司にお世話になっている場合、転職する意思を伝えることに罪悪感を感じるかもしれません。
しかし、上司に転職の意思を伝えなければ必ず無用なトラブルを生みますので、言いづらくてしっかり伝えましょう。
上司以外のお世話になった人に関しては伝えるのも伝えないのも自由です。
「相談」の段階であれば伝える必要はない
既に転職活動をしている、内定を獲得しているのではなく、転職を検討している段階の「相談」は上司であっても伝える必要はありません。
これは引き止められたり、上司経由で社長に「○○さんが会社を辞めようとしている」という情報が漏れて会社に居づらくなったり、印象が悪くなるリスクがあるからです。
心から信用できる上司であれば相談してもいいかもしれませんが、基本的には誰にも相談しないほうが無難でしょう。
お世話になっている人も同様で、相談するとどこから話が漏れるか分かりませんので、心の内に留めておいたほうが良いでしょう。
上司やお世話になった人に転職を告げるタイミングはいつ?
上司には早ければ3ヶ月前、遅くとも1ヶ月前
民法上では、2週間前に退職の意思を告げれば良いことになっていますが、実際は引き継ぎ作業があるので早ければ3ヶ月前、遅くとも1ヶ月前までには上司に退職の意思を告げましょう。
ただ2~3ヶ月前に退職の意思を告げる場合、引き継ぎの時間は十分とれるのですが、転職先を決めるのが退職の意思を告げた後になってしまいます。
昔は「転職先を決めてから退職するのは、会社への裏切りだ」などと言う上司もいましたが、現実問題として内定を獲得してから転職をした方が金銭的にも職歴的にも安心です。
そのため、上司に退職の意思を告げるのは内定獲得後、入社予定日の1ヶ月前でも問題ありません。
お世話になった人は1週間前や当日でもOK
一方でお世話になった人は、退職の1週間前や当日に告げる形でも問題ありません。
社内でお世話になった人であればもう少し早めに告げてもいいかもしれませんが、部署が違って仕事上ではあまり関わりがないような人であれば1週間前で十分です。
社外でお世話になった人は転職後も関わりがありそうなら早めに連絡しても良いですが、二度と関わらなそうであれば当日、あるいは連絡なしでも支障は出ないでしょう。
逆にあまりに早く、上司より先にお世話になった人へ転職する旨を伝えてしまうと、噂として上司の耳に入った場合に「なぜ俺に相談しなかったんだ」と信頼関係が崩壊する可能性が高いので要注意です。
転職の意思を告げるのは直属の上司のみでいい?
基本的には直属の上司のみでOK
転職の意思を告げるのは、基本的には直属の上司のみで大丈夫です。
業種によっては実質的なリーダーが直属の上司でなかったり、上司よりも上の人間という場合もあるでしょう。
しかし、組織の一般常識で考えるとまずは直属の上司に退職の意思を告げるのが筋です。
お世話になった人に告げる場合は今後も関わりたい人のみで良い
もしお世話になった人に転職の意思を告げるのであれば、とりあえず上司に打ち明けた後に話すようにしましょう。
また、お世話になった人全員に告げるのでなく、今後も関わりたいと思うほどお世話になった恩人のような相手だけで十分です。
企業や立場によっては人事や総務に告げる
レアケースですが、直属の上司がいない新規部署に配属されていたり、上司が社外の人間であるような場合は人事や総務にも転職することを伝える必要があるでしょう。
また、管理職で上司が社長しかいないような場合は、直接社長に転職する旨を伝えるべきケースもあります。
上司やお世話になった人へ転職の意思の伝え方
ご相談したいことがあるのですがと切り出す
上司やお世話になった人へ転職することを伝える場合、「ご相談したいことがあるのですが、少しお時間を頂戴できないでしょうか?」と丁重に伝えましょう。
このひと言で察しの良い上司は「あ、これは退職の話だな」と判断します。
後は上司から「今は忙しいから業務終了後に会議室で話そう」、「詳しいことはいつもの店で聞こうか」というような流れになるでしょう。
退職したい旨をはっきりと伝えることが大切
上司やお世話になった人へ転職を伝える際は、申し訳ないと感じていてもストレートに退職したい旨を告げましょう。
退職する会社に辞意を伝える場合、どんなに言い方に気を使ったところで緊迫した空気が流れるのは仕方のないことです。
曖昧な言い方をすると引き止められたり、「それなら今退職しなくてもいいじゃないか」と話を打ち切られてなあなあになってしまいます。
はっきり伝えるといっても、「社長の仕事のやり方にどうしても付いていけない」、「残業が多すぎる」といった今の会社への否定は上司から反発を受けるのでお勧めできません。
たとえそれが転職したい真実の理由だったとしても、「これまでの経験を活かしてより専門的な分野の仕事をやりたい」といったような前向きな転職理由を告げるとスムーズに退職しやすいです。
誠実かつ真剣に今までの感謝の気持ちを込めて話す
退職の意思を告げるときは誠実かつ真剣にこれまでお世話になったことへの感謝の気持ちを込めて伝えるのもポイントです。
「退職する前にこれだけは言ってやりたい!」というような恨み心があったとしても、そこはグッと抑えてお世話になった事への感謝を前に押し出した方が、スムーズな退職ができるので結果として得をします。
最後に「誠に勝手ではありますが、〇月〇日付けで退職させていただく決心を致しました」と、具体的な日付を伝えることも大切です。
退職が単なる希望ではなく、固い決心のもとに決めたのだということを伝えることができます。
転職活動をしている段階で上司やお世話になった人に話すべき?
転職活動をしている段階では上司に話さない方が良い
転職をするべきかの「相談」と同様に、転職活動をしている段階ではまだ上司やお世話になった人に話さない方が無難です。
やはり転職活動を終えて内定を獲得した後に、上司やお世話になった人へ話すのが良いでしょう。
転職活動をしている段階で話をすると、万が一どこも内定を獲得できなくなった場合に、気まずい状態で今の職場で働き続けることになるからです。
場合によっては裏切り者のレッテルを貼られて仕事を任されなくなったり、追い出し部屋のような部署に追い込まれて自主退職を促されるので、在職中はその会社のために全力を尽くす姿勢を崩さないのが無難です。
お世話になった人間や同僚にも絶対に漏らさない
上司はもちろん、お世話になった人や同僚にも転職活動をしていることは漏らさないようにしましょう。
「転職活動を上司には話さないけれど、気心の知れた同僚には話したい」という人は多いですが、これはかなり危険な行為です。
人の口に戸は立てられないので、信頼している相手が悪意がなしにあなたが転職活動をしていることをバラしてしまい、上司の耳に入るケースが多いからです。
場合によっては仲の良かった同僚が転職をすると分かった途端180度態度を変えて、いじめや妨害を行うケースもあります。
そのため、内定を獲得して会社を確実に退職する目処が立つまではお世話になった相手でも転職活動をしていることは絶対に漏らさないように気を付けましょう。
上司やお世話になった人から転職を引き止められた時の対処法
強い気持ちで対処することが大切
上司やお世話になった人から転職を引き止められた場合、強い気持ちをもって毅然と転職する意思を貫きましょう。
退職の意思を告げてもおいそれと受け入れられるケースは珍しく、むしろあなたが職場にとって必要な存在であればあるほど、あの手この手で引き止めにあう可能性の方が高いでしょう。
引き止められると気持ちが揺らいでしまうかもしれませんが、相手は貴方の都合や気持ちを一切考えず、自分や会社の都合で転職を引き止めているに過ぎません。
そのため、これまでの感謝の気持ちと礼儀を忘れずに、しっかり強い気持ちを持って転職する旨を伝えて下さい。
不満点が解消される場合は折れるのも一つ
転職を引き止められた場合、基本的には意思を貫くべきなのですが、転職の理由である不満点が解消される場合は折れるのも一つの選択肢です。
たとえば給料の不満が原因で退職するのであれば、「来月から基本給を5万円アップしよう!」と言われた場合は、待遇面の不満が改善されるので他に転職したい要因がなければ残留するのも手です。
人間関係の不満であれば、部署の変更や問題となっている人間の降格や左遷を条件として提示してくる場合もあります。
このような引き止め交渉に納得できる場合は、折れて今の職場に残るのも選択肢の一つです。
ただし、待遇改善であれば口約束でなくちゃんと来月に給料がアップするよう契約書を交わしたり、そもそも一度退職を告げたせいで働きづらい空気になるリスクは考慮しておきましょう。
お世話になった上司に転職を伝える際の注意点
退職の意思を告げるときは慎重になる
上司に転職する旨を伝える場合、伝え方はもちろんタイミングまで慎重に行うようにして下さい。
まずは「今まで大変お世話になったのですが、実は…」と切り出し、退職の理由をはっきりと述べます。
上司に声をかける時間帯としては出社後に仕事を始める前か、仕事が終わって皆が帰り始めた頃が狙い目です。
そのタイミングなら上司も落ち着いていることが多く、近くに誰もいないタイミングを見計らうことができます。
忙しいタイミングやイライラしていそうな時に声をかけてしまうと、円満退職できるはずだったのに無用なトラブルに発展する可能性があるので注意して下さい。
上司との関係性で臨機応変に対応を変える
お世話になった上司に転職を伝える場合、関係性によって伝え方を臨機応変にしましょう。
例えば親しい間柄の上司に退職を告げる場合、あまりに畏まってしまうと不快感を覚えてしまう場合があるでしょう。
逆にビジネスライクに付き合っている上司であれば、一般的なマナーに則って伝えるべきです。
日頃の上司との関係を考えながら、臨機応変に対応するのがベストです。
退職後も交流したいくらい尊敬できる上司であれば、退職の意思を告げるだけでなく、転職後もお互いに良い関係を保っていきたいということも強調すると良いでしょう。
繁忙期でなく閑散期に転職を伝える
上司に転職を伝える際は、繁忙期でなく閑散期を狙って伝えるようにしましょう。
繁忙期に転職を伝えても、今転職されても困ると拒否されてしまったり、引き継ぎ業務を進める時間がないせいで退職準備が遅々として進まない可能性があります。
もしボーナスの後に閑散期がある仕事であれば、そこが退職を告げるのに最適なタイミングでしょう。
間違ってもメールで退職の意思を伝えない
お世話になった上司に退職する旨を伝える際は、間違ってもメールを使わないようにしましょう。
最近は仕事上のやり取りを同じフロアにいてもメールやチャットツールで行うケースが増えてきたので、「辞意もメールで伝えればOK」と考える人がいますが、マナー違反なので絶対にやめましょう。
あくまでも直属の上司に直接声をかけ、対面で退職したい意思を伝えるのが原則です。
メールで退職したい意思を伝えてしまうと反感を買い、やはり余計なトラブルに発展する可能性が高いです。
上司やお世話になった人への転職の伝え方やタイミングまとめ
今回は上司やお世話になった人への転職の伝え方や、タイミングについて紹介しました。
上司に退職の意思を告げるのは勇気が要りますし、もしお世話になった相手であれば尚更でしょう。
「会社を退職したい」と告げた途端、優しかった上司や同僚の態度が変わってしまうことも珍しくありません。
円満退職をするには上司への伝え方やタイミングには細心の注意を払い、引き止められても転職を貫く強い意思が必要です。
転職を考えていることは基本的に誰にも話せないので、孤独な気持ちに陥ることもあるかもしれませんが、晴れて転職できれば素晴らしい未来が待っていますので頑張りましょう。