円満退社とは?する方法は?今の会社から円満に転職したい人は必見
転職を考え始めると、つい転職先のことで頭がいっぱいになってしまいがちですが、実は転職を決めることと同じくらい大切なのが「今の会社を円満退社すること」です。
どんな風に退職するかということは、今後転職先に移ってからも影響してくるので、慎重過ぎるくらい慎重に事を進めましょう!
今勤めている会社を円満退社するためには、転職先が決まってからではなく、転職を考え始めた時点から事前準備を始めている必要があります。
では、いったいどんな事前準備をしておいたら良いのか、詳しくお話ししましょう!
円満退社とは?
円満退社とは、従業員が会社を退職する際にもめごとなく労働契約を解除して、退職することを指します。
会社と従業員の双方が不満を持たずに退職しているので、後述するようなトラブルが発生することもなくスマートに退職することができます。
円満退社と同様に労働契約を解除する言葉に「自然退職」がありますが、こちらは休職期間の満了などで会社や従業員の意思に関係なく労働契約が終了することを指します。
【重要性】円満退社が無理だった、できなかった時のリスク
転職先から連絡が入った時に散々なことを言われてしまう
円満退職ができなかった時の最大のリスクが、「前職調査」をされた場合に散々な事を言われてしまうパターンでしょう。
企業の人事担当者は、時として内定者の経歴や在籍に嘘がないか確認するため、前職調査として退職先に問い合わせの電話を入れるケースがあります。
主に「退職理由は何か?」「勤務態度はどうだったか?」「その人は本当に在籍していたのか」といった確認なのですが、この時に円満退社をしていないと悪評や有る事無い事を言われて評価が下がる可能性があるのです。
転職先は応募者の人格や仕事に問題がないかを知りたい
転職先にとって、応募者が前職で人間関係が良好で勤務態度が真面目だったかというのは気になるポイントになります。
もし人格や仕事に何らかの問題があって退職をした人は、採用しても同じ問題を起こしかねないと考えるからです。
そのため、前職調査の電話が入った時に、「A君は仕事をサボってばかりで困ってた」「重要な仕事を任せていたのに、繁忙期に勝手に退職してしまった」と事実無根の悪評を言われようものなら、内定を取り消されてしまう可能性もあるでしょう。
内定獲得前に前職調査をする企業も多いので、円満退職をしないと転職が成功する確率が下がってしまうでしょう。
上司や同僚から転職活動を妨害されてしまう
円満退社ができずトラブルになると、転職活動を妨害されてしまうのもリスクの一つです。
円満退社が無理だった場合、会社から「退職は認めない」と言われたり、「退職するなら損害賠償請求をする」と脅される等します。
それだけでもかなり転職活動に支障が出るのですが、さらに過酷な残業を課され夜の面接に行けないようにされたり、面接で有給や半休を取ろうとしても断られてしまうなど、あの手この手で転職活動を妨害されてしまうでしょう。
令和になって転職活動の妨害をする企業があるなんて信じたくありませんが、残念ながらブラック企業や中小企業では未だに珍しくありません。
特に自分勝手に転職活動をして円満退職に失敗した場合、かなりの確率で降りかかってくるので注意して下さい。
円満退社はあり得ない、難しいと考える人も多い
日本では円満退社に失敗している人が多い
円満退社が無理な場合のリスクを紹介しましたが、実際のところ円満退社はあり得ない、難しいと考えている人が多いのも事実です。
未だに日本では転職は裏切り、退職なんて認めないという経営者や上司が少なくなく、退職側は円満退社をしようと穏便に話を切り出した途端、経営者や上司が大激怒して退職願を破られる、恫喝されるなどトラブルに発展する経験をした人が多いからです。
残念ながらあなたがどれだけ努力をして、日頃から真面目に仕事をしていても、上司や同僚から不満を持たれていたり、壊れるまで奉仕が当たり前と考えるブラック企業では円満退社は難しいのも事実でしょう。
こっちが円満退社だと思っても会社からすれば円満じゃないケースもある
また、予定通りに有給消化をした上で退職ができれば、退職者からすれば円満退社となります。
一方で企業からすれば定年まで勤めるのを前提に、採用や教育にコストをかけた人材が途中で辞めてしまうので、実際は不満を抱えていて円満退職ではないというケースも多いです。
円満退社の本来の意味は、退職者と企業の双方が不満なく円満に労働契約を解除することですので、実質的には本当の意味での円満退社はあり得ない、と考える人もいます。
退職代行や労働基準監督署に相談するのも手
とはいえ退職は労働者の権利でもあるので、正当な手順を踏んでも会社が退職を認めないのであれば、トラブルになった時点で円満退職は諦め、労働基準監督署に相談したり、退職代行サービスを利用するのも一つです。
可能であれば円満退社したほうがよいですが、相手側に問題がある場合は辞める事を第一に考えて問題ありません。
やり方次第では円満退社は可能
では、円満退社は本当に不可能であり得ないのかと言うと、答えはノーです。
退職が嫌われがちな日本でも円満退社を成功させている人も数多く存在しており、その人達の共通点として以下の3点があります。
- ポジティブな退職理由を用意している
- 伝え方に注意している
- 最適なタイミングで伝える
- 引き継ぎをしっかり行う
最近は3年ほど勤務したらキャリアアップのために転職する人も増えているので、昔と比べれば退職者にアレルギー反応を示す人も減っており、円満退社をしやすい環境になりつつあるといえます。
現在お世話になっている会社へ感謝し、尊重する気持ちを前面に押し出しながら退職の話を切り出すことで、円満退社へ近づくことができるでしょう。
円満退社する方法や必要な下準備
では、具体的に円満退社をする方法について紹介していきます。
円満退社できる正当な退職理由を考えておく
円満退職するためには、まず「どんな理由で退職するのか」が大きな意味をもってきます。
本音だとしても「職場の人間とソリが合わないから辞めたい」と伝えてしまえば、当然ながら円満退社は望めません。
嘘でもいいので誰もが納得できるような退職理由をあらかじめ考えておき、伝え方にも注意しましょう。
たとえば、「自分の能力をもっと活かしたい」、「将来のためにキャリアチェンジをしたい」、「新しいことにチャレンジしてスキルに磨きをかけたい」という理由であれば、まともな会社や上司であれば転職を受け入れてくれるでしょう。
誰も傷つけることなく、かつ誰も引き止められないような転職理由を考えることが、円満退社をするコツです。
担当業務の責任を果たしてから転職する
職業によっては区切りの概念が薄いですが、自分の担当業務が一区切りついたタイミングで退職を切り出すことで、円満退社ができる確率が上がるでしょう。
仕事が一区切りするまで責任を持って業務に取り組んでいれば、真面目さを評価されて上司や経営者からも「このタイミングの転職なら仕方がない」と許してもらえることが多いです。
また、仕事が落ち着いているので引き継ぎ対象の後任者に対し、業務をじっくりと教えることができるのもメリットです。
ただし、一区切りつくまでに数ヶ月、1年を要するような仕事の場合、時期を待っていると転職のチャンスを逃しかねないので臨機応変に対応しましょう。
繁忙期でなく閑散期に転職する
円満退社をするには退職を告げるタイミングも重要で、具体的には繁忙期でなく閑散期を狙うようにしましょう。
また、よりミクロな視点で言うと、忙しい出社直後や午前中でなく、比較的仕事が落ち着いている夕方に退職を切り出すのも効果的です。
多くの職場では1年間のうちに「この月は特に忙しい」という繁忙期があるので、可能であればその時期に内定が決まるようなスケジュールは避けた方が賢明です。
たとえば会社で経理担当をしているのに決算の時期に突然「退職します」と伝えれば、「ふざけるな!」と一喝されてしまうでしょう。
また、繁忙期は引き継ぎをするのも容易ではなく、退職時に会社に迷惑をかけてしまうことにもなります。
そのため、円満退社するには仕事が忙しくない閑散期に内定が決まるよう、逆算して転職のスケジュールを組んでおく必要があります。
引き継ぎをしっかり行う
円満退社をするためには引き継ぎをしっかりと行う、あるいは転職前に引き継ぎを完璧にする意思を伝えることも大切です。
内定を獲得してから退職する場合、1~2ヶ月前に上司に退職を告げる形になりますが、仕事内容によりますが完璧な引き継ぎには3ヶ月ほどかかることも珍しくありません。
しかし、転職先もそこまで待ってはくれないので、ではどうすれば円満退社できるかというと、転職先の内定を得る前からひっそり着々と引き継ぎの準備をしておくのがおすすめです。
いつ内定が決まってもいいように引き継ぎの準備をしておくことで、退職を告げるのが1ヶ月前でも引き継いだ人はスムーズに仕事をスタートすることができます。
会社の就業規則に従って退職する
大前提とも言えますが、円満退社をするためには会社の就業規則に従って退職をするのも大切です。
民法上では2週間前に退職の意思を告げれば良いとなっており、当然就業規則よりも法律が優先されるのですが、会社によっては「退職は2ヶ月前までに申し出ること」といった就業規則を設定しています。
法律的にはこの就業規則を守る義務はないのですが、円満退社をしたいのであれば必ず従うべきなのでチェックしておきましょう。
たとえ上司が優しい人で、細かいことにはこだわらないタイプだったとしても、円満退社をするには会社としての決まりはしっかりと守ることが大切です。
伝え方に気を遣う
円満退社をするには伝え方も重要で、上司が納得しやすく、感謝や尊敬の気持ちが伝わる言葉遣いを心がけましょう。
例文としては、「この度私事で申し訳ありませんが、○月○日付けで退社させて頂きたく存じます。今までお世話になったことへの感謝と共に、残り少ない期間ではございますが引き続き精一杯努めさせて頂きます」というようなものです。
言いたいことは同じでも「○月○日で退社しますので、よろしくお願いします」という伝え方では、上司はムッとしてしまうでしょう。
ただし、これらだけでは不十分であり、最終的には自分自身の姿勢や態度が重要だということも忘れてはいけません。
円満退社を成功させるメリット
円満退社をすることには、以下のようなメリットがあります。
スムーズに退職できる
円満退社することで、会社との交渉がスムーズに進み、退職の手続きが迅速かつ円滑に行われます。
例えば、退職届や引き継ぎ書の提出、給与や賞与の精算、雇用保険や年金手続きなどの各種手続きがスムーズに進みますので、転職のストレスやトラブルを最小限に抑えることができます。
また、上司や同僚からの理解や、退職に際する協力も得やすくなるのもメリットでしょう。
内定前であれば面接のための有給を快く許可してくれたり、転職活動に集中するため残業が発生しないように気を遣ってくれたりします。
転職先に円満退職の事実を堂々と伝えられる
転職活動では前職の退職理由を問われることが多いのですが、円満退社している場合はその事実を堂々と伝えることができるのもメリットでしょう。
円満退社に失敗している人は人間関係やコミュニケーション能力に問題がある可能性を疑われますが、円満退社ができている人は好意的に評価されるので、新しい仕事先で信頼関係を築く上でも有利です。
円満退社をすることで、転職先に対して自信を持って自分の経歴や能力をアピールできます。
業界内に悪評をばら撒かれるリスクがない
円満退社することで、会社側に前述したような悪評をばら撒かれるリスクがないのもメリットです。
前職調査をされても会社はあなたの評判に傷がつくことが無いよう、「真面目で素晴らしい人でした」、「退職されたのが惜しいくらい良い人材でした」という風に保護してくれるのでキャリアアップでも有利です。
構築した人間関係をそのまま活用できる
円満退社をすることで、今の会社の人間関係をそのまま人脈として活用できるのもメリットでしょう。
特に同じ業界内で転職する場合、二度と関わることがないと思っていた以前勤めていた会社と、取引先や競合相手として関わることも珍しくないです。
そのため、円満退社しておけば転職後も上司や同僚と良い関係を保ち、仕事に繋がることも珍しくありません。
たとえばIT企業を退職してWeb制作会社に転職した場合、前職の同僚から仕事を紹介してもらえるケースもあります。
同僚としてはもともと同じ仕事をしていた仲間なので、仕事ぶりや人間性を熟知しているため、安心して仕事を紹介できるのでしょう。
IT企業にとっても良い制作会社を紹介したことで取引先から感謝されれば、より深い信頼関係を築けるというメリットがあります。
このように自分が退職した会社とWin-Winの関係を持つことができれば、それは揺るぎのない人的財産となるに違いありません。
円満退社する方法やメリットまとめ
今回は円満退社をする方法や、メリットについて紹介しました。
転職を考えるということは会社への不満も少なからずあるはずですが、無駄なトラブルを避けて円満退社をするなら、胸の内に留めておくのがおすすめです。
本音はともかくとして今までお世話になった上司や会社に心から感謝し、自分が辞めることで迷惑をかけないよう、できる限りの努力をしましょう。